Switch『Florence』感想|ありふれた日常を丁寧に描いた短編作品
Florenceは、Switchで700円で配信されている作品です。
イラストと色使いが可愛いなと思ったので買ってみました。
かなりコンパクトな作品で、ゲームというよりは仕掛け絵本のような感じでした。
主人公はどこにでもいそうな25歳の女性、フローレンス・ヨー。
プレイヤーは様々なアクションを通じて、彼女の物語を追っていきます。
プレイヤーが体験するのは、彼女のなんてことない日常。
例えば、スティックを左右に動かして歯を磨いたり。
例えば、友達のSNSに反応したり。
彼のために料理を作ってあげたり。
ゲームとして面白いかは置いておいて、プレイヤーが実際に操作することで彼女の人生を体験しているような気分になれます。
何気ない日常の動作をゲームとしてプレイするのはちょっと不思議な感じ。
主人公のフローレンスの心情はゲームの端々に現れており、その表現方法がセンスがあって好きです。
彼との出会いのシーンでは、それまで色のなかったフローレンスの世界が少しずつ色づいていきます。
全体的に色の使い方がとても印象的な作品で、タイトル画面にも使われている「黄色」がキーになっています。
彼と付き合っている幸せな時期は仕事のスピードも早くなったり、そういった細かい描写でフローレンスの心情を丁寧に描いているのが良いですね。プレイしていてより彼女に共感できます。
また、特に印象に残ったのがこの会話のシーン。
ピースをはめてパズルを完成させることで会話を表現しています。
付き合い始めの頃はピースが多くて一言発するのにも時間がかかるけど、付き合ってしばらくするとピースが少なくなり、スムーズに喋れるようになる。
また、口論になった時はピースがトゲトゲしてくる、など。
このセンスが素敵だなぁと思いました。
クリアまで30分~1時間くらい。やり込み要素などは無く、純粋に物語を体験するだけ、といった作品です。
スマホ版は330円なので、Switch版はどうしても割高な印象を受けてしまいます。
ストーリーも意外性はないし、ドラマチックな話ではないんだけど、ありふれた話だからこそ意味があるゲームなのかなと思いました。
イラストもすごく可愛いし、ピアノがメインのBGMも癒されます。
雰囲気が気に入れば、息抜きに短編漫画を読む感覚で買うのもありかなと思いました。