ノートの切れ端

遊んだゲームの感想などを書いてます。

Switch『World for Two』感想|滅びゆく世界で繋ぐ希望

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ec.nintendo.com

「World for Two」はSwitchで1400円で配信されているゲームです。
元々スマホで無料ゲームとして配信されていたものに、アニメーションの改良や追加要素など色々と手が加えられたもののようです。
この作品のことは知らなかったのですが、「アンリアルライフ」をリリースしたレーベルのヨカゼから出ている、ということでこれは買うしかない!と即買いしました。
ゲーム内容は結構作業的だったけど、切なくも美しい世界が胸に残る1本でした。

 

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大洪水によりあらゆる生物が滅んでしまった世界。
最後の生き残りである博士は、世界を救うべく新たな生命を創る研究をしています。
彼は研究を手伝ってもらうために1体のアンドロイドを創り出しました。
博士の力になるのが自分の使命だと感じたアンドロイド。
二人は荒廃した世界で希望を繋ぐため、生命創りを始めます。

 

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拠点となるのは地下にある研究所。ここでDNAを掛け合わせて様々な種類の生物を産み出すのがこのゲームの目的です。
生物は人工DNAと生物DNAを特定の組み合わせで掛け合わせることで誕生します。

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人工DNAは自然エネルギーから作ることができます。エネルギーは各エリアにある装置から発生し、時間経過で溜まっていくので定期的に回収する必要があります。

エリア毎に発生する自然エネルギーは異なるため、新しいエリアに行けるようになる度に創造できる生物の種類も増えていきます。

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生物DNAは産み出した生物から採取することができ、1つの個体から3つまで得ることができます。
3回DNAを採った個体は消えてしまうのがちょっと切ない。命とは儚いものなのだ…。

ゲームの流れとしては、そのエリアで創造できる生物をある程度創造して新しいエリアを解放し、そのエリアの装置からまた新しい人工DNAを作る…の繰り返しになります。

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メニューから見ることができる「BOOK」では創ったことのある生物一覧を確認できます。また、その生物の進化系統や何パターンに進化するかも分かるため、ここを確認しながらDNAの組み合わせを試していくことになります。
組み合わせは何でもいいという訳ではなく、例えばシーラカンスのDNAと鳥類のDNAのような適当な組み合わせでは失敗してしまいます。
その生物に何を掛け合わせれば進化しそうかをちゃんと考えて組み合わせるのがポイント。

 

ただ、各エリアに生息できるDNAの種類や進化系統からある程度組み合わせは絞り込めるとはいえ、どうしても総当たり的なプレイになりがち。

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この生物のDNAが欲しい!となった時に、じゃあこれを作るにはこの生物が必要で、この生物を作るには…みたいな感じで手持ちのDNAによっては進化系統の始めから作り直さなければいけないことがしばしばあり、結構面倒でした。

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また、一度失敗したDNAの組み合わせは配合の直前まで表示されないので、どの組み合わせを試したのかが分かりづらくかなり混乱します。自分でメモをとるのが一番確実。

研究所と地上を何度も行き来することになるのも大変でした。メニューから各エリアに移動できるようにはなっているのですが、横長のマップのどこに目的の生物がいるか分からないため、エリア内をうろうろ歩き回ることが多かったです。

 

と、ゲームとしては作業ゲー的な面が強すぎてちょっと微妙かなと思いましたが、そんな作業感を差し引いても作品の持つ雰囲気が素晴らしい。

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ドットで描かれた世界は美しく、特に水面に反射する景色の表現はとても綺麗で神秘的です。
植物に支配された様子や、あちこちに残されている構造物など…滅びゆく世界は静かで、どこか切なくなります。
こういうどことなく切ないゲーム大好きなので、たまらない…。

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時間と共に映り変わる景色もまた美しい。少しずつ色が変わっていく空、ゆっくり昇っていく月など雰囲気作りへのこだわりを感じます。

Switchに移植するにあたって描き直されたという生物のアニメーションも滑らかで綺麗です。

また、私がこのゲームで一番気に入っているのが音楽。
どのBGMも優しくも切なく、滅びゆく世界という雰囲気にぴったり合っていて本当に美しい…。
クリア特典としてBGMをピアノ5重奏に変更できるのですが、こちらも同じくらい好きです。

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生命創りは大変ですが、その分新たな生物が誕生したときは嬉しくなります。ここは博士やアンドロイドの気持ちとシンクロする瞬間ですね。
生命を産み出し、DNAを採取し、消えていく命を見届ける…それを何度も繰り返した先にあるエンディングと、クリア後に見られる前日譚はかなり胸にくるものがありました。
前日譚を見ると思い入れが変わると思うので、スマホ版をクリアした人も是非Switch版をやって欲しいなぁ。

 

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BOOKを全て埋めるまでプレイして5時間程でした。
グラフィック、音楽、ストーリーすべてが美しい作品。
DNAの組み合わせを何パターンも試さないといけない中盤はちょっと辛いんだけど、それ以上に雰囲気が素晴らしかった。
プレイして良かったなぁと思える作品でした。

「ヨカゼ」のゲーム、これからも注目していきたいです。